
アウディAGは2008年米国デトロイトモーターショーにて現地時間1月13日、ハイパフォーマンススポーツカーとして初めての12気筒ディーゼルエンジンモデルを発表しました。アウディR8をベースとするこのコンセプトカーに搭載されているのは、6リッターのV12 TDIエンジンです。このエンジンユニットは、500ps、1,000Nmというとてつもないパワーを生み出します。つや消しの「グレースシルバー」を纏ったこの「アウディR8 V12 TDIコンセプト」は、アウディがこれまでモータースポーツシーンで培ってきた専門的技術に裏づけられた、比類なきハンドリング、先駆的技術と魅力あふれるデザインが融合されています。さらに、世界で最もクリーンなディーゼルエンジン、TDIによる環境性能をも備えています。
このV12 TDIエンジンは、伝統あるルマン24時間レースにおいて、2006年にそのレース史上初めてディーゼルエンジンでの総合優勝を果たし、翌年も連覇を達成したアウディのプロトタイプレーシングカー、アウディR10に搭載されているエンジンと非常に近いものです。アウディの他のV型エンジンとの共通性を持ちながら、レーシングエンジンにおける技術が盛り込まれたこのロードゴーイング用エンジンのボア×ストロークは83.0mm×91.4mm、排気量5,934cc、コモンレールインジェクション用の新開発の高圧ポンプ2個を備えます。バンク角は60度とし、エンジン全長は684mmと、V8 TDIエンジンよりわずか166mm長いだけの非常にコンパクトな設計です。このコンパクトさが、V12エンジンをミッドシップスポーツカーであるR8に搭載することができる鍵となっています。2基のターボチャージャーの貢献により、V12 TDIは1,750~3,000rpmという広い領域で1,000Nmものトルクを生み出すことができ、0-100Km加速は4.2秒、最高速度300km/hを誇ります。
驚異的な動力性能の他に特筆すべきハイライトは、その環境性能です。アウディR8 V12 TDIコンセプトは、窒素酸化物(NOx)の緊急的削減が求められる2014年施行予定の欧州排出ガス規制、ユーロ6の基準をすでに満たしています。そのシステムは、酸化触媒、DPF(粒子状物質除去装置)、そして「アドブルー」と呼ばれる尿素水溶液のタンクからなっています。少量の「アドブルー」を排気システム中に噴射することによって、水溶液が熱い排気ガスにより分解されてアンモニアとなり、それがNOxを無害な窒素と水に分解します。このシステムは、車両のライフサイクルの最後まで有効に機能し続けます。
アウディは1978年にアウディ100で世界で初めての5気筒ディーゼルエンジンを発表、1989年にその後継モデルにおいて初めてTDIエンジンを世に送り出し、ルマン24時間レースでの快挙を含め今日までディーゼルエンジン技術の先駆者であり続けてきました。ユーロ4により車両の粒子状物質排出量が93パーセントも削減されましたが、この規制が施行される以前から、DPF装着のない状態ですでにアウディは市販車両でこの基準を満たしていました。そして今年、アウディは世界で最もクリーンなディーゼルエンジンを市販車両に搭載します。超低排出ガスシステムを持つアウディのTDIエンジンは、ユーロ6規制、また最も厳しいことで知られる米国の法規制をもクリアする世界で最初のディーゼルエンジンとなります。
※写真は、Audi Japan Press Center (http://www.audi.co.jp/audi/jp/jp2/press_center.html)よりダウンロードが可能です。Audi Japan Press CenterへはIDならびにパスワードが必要となります。