
●カーボン:革新的な特性を持った素材
●パフォーマンス:スキーおよびモータースポーツの技術を採用
●デザイン:一切の贅肉を削ぎ落としたミニマリズム
<ミュンヘン発、2011年2月9日>
プロフェッショナルなスキー競技とモータースポーツの世界で磨かれたノウハウにより、完璧なスキー板が完成 しました。Audi Carbon Ski(アウディ カーボンスキー)コンセプトは、カーボンというプレミアムな素材のみを使用し、ミニマリストデザインに基づくスポーツギアで、その形状は見る者の目を奪います。このスキー板は、「アウディコンセプトデザインミュンヘン」で設計開発されたものですが、その成り立ちはレーシングカーと同様であり、真のポテンシャルを 追求できるのは一流のプロフェッショナルスキーヤーのみです。このため、アウディ グループのデザインを統括するウォルフガング エッガー率いる開発チームは、量産仕様のカーボンスキーを開発するに当たって、スキー用品の専門企業であるHEADの協力を仰ぎました。Audi Carbon Skiは、早ければ2011/2012年のウィンターシーズンに市販される予定です。
コンセプト仕様から量産型Audi Carbon Skiへの技術移管は、コンセプトスタディのアドバンテージを最大限に 活かすことを目標に行われました。高強度カーボンファイバーの下には、ウッドコアのほか、アルミニウムとチタンの金属層が隠されています。この特徴的な構造により、全長170cmのスキーの重量は、同等のモデルよりも 約200グラム軽い1,550グラムに抑えられました。この差が圧倒的な取り回し性と俊敏性をもたらします。
カーボンの使用により、理想的な剛性が確保されると同時に、スキーのねじれが最小限に抑えられます。驚異的なレベルに達した強度と良好な減衰特性、そして軽量性により、Audi Carbon Skiは、同社が提唱する「Vorsprung durch Technik(技術による先進)」を見事に表現するカービングスキーとなっています。
「アウディは、ドイツスキー連盟の長年のパートナーであり、スポンサーでもあります。そのアウディがスキー板を製作するのは、パートナーシップの論理的発展の結果と言うべきでしょう。Audi Carbon Skiのコンセプトは、このようなパートナーシップから生まれたのです。また、Audi Carbon Skiの優れた運動特性は、プロのスキーヤーも確認済みです」と、ウォルフガング エッガーは述べています。「量産モデルは、コンセプトスタディの技術やノウハウが活かされており、驚異的な技術的特性を有しています。同時に、ミニマリストデザインは、カーボンという優れた素材の特性を最大限に追求した結果なのです。」
2011年1月、キッツビューヘルで開催された世界でもっとも有名な滑降レース、ハーネンカム、そして2月のガルミッシュ-パーテンキルヘンのワールドカップ スキー選手権において、Audi Carbon Skiの初期プロトタイプのテスト走行が行われました。ここでは、それまでに実施されていたHEADおよびドイツスキー連盟のスペシャリストによるテストを裏打ちする結果が出ており、製品としての完璧性を追求する新たな情報が得られました。
Audi Carbon Skiコンセプト
アウディは、20年以上に及ぶドイツスキー連盟とのパートナーシップとモータースポーツの経験が、Audi Carbon Skiコンセプト(2008/2009)の開発に大きく貢献しました。スキー競技で確立された、勝つためのパラメーターは、モータースポーツ直系の複雑な計算手法によって、精妙に分析されました。この結果、完璧な技術的特性を持つフルカーボンスキーの基本構造や仕様を確立させることができたのです。さらに、ドイツスキー連盟の研究者の協力の下、綿密なテストが実施され、Audi Carbon Skiコンセプトのクオリティとポテンシャルが確認されました。
スキー板は、スポーツギアとして技術的にも高度に進化すると同時に、トップパフォーマンスを目指して最適化された結果、ミニマリストデザインの中に美しさを感じさせます。ミュンヘン中心部のシュヴァビンクに本拠を置く「アウディコンセプトデザインミュンヘン」の主導によるカーボンスキープロジェクトの原点もここにあります。国際色溢れるデザイナー陣は、アウディブランド製品に共通するデザイン遺伝子をスキーにも表現することに成功しています。「カーボンとアルミニウムは、アウディデザインの中核的素材。スキーをデザインするうえでも、不必要なラインを徹底的に排除して、素材のアドバンテージをフルに活かすことに集中しました。」とエッガーは述べています。
「強度と軽量性を理想的にバランスさせるカーボンファイバーは、モータースポーツにおいても、強烈な負荷に耐えつつも軽量性を要求される重要な部位に採用されています」と、アウディモータースポーツ部門を率いるDr.ウォルフガング ウルリッヒは説明しています。ドイツツーリングカーマスターズ(DTM)マシンや最新ルマンスポーツカー、Audi R18のモノコック製コックピットには、高強度カーボンファイバーが採用されています。「モノコックには、ドライバーの命を守るという重要な役割があります。モノコックの強度計算に使われた計算手法が、Audi Carbon Skiコンセプトの開発にも応用されています」と、Dr. ウルリッヒは付け加えています。
高度かつ綿密な計算に基づいて、必要なカーボンレイヤーの層数のみならず、ファイバー同士がなす角度も算定されました。エンジニアは、これによって理想的な剛性を確保すると同時に、スキー板のねじれを最小限に抑えることに成功しました。なお、カーボン層は、人工的な真空環境の高圧下で焼成されました。
こうして完成したカーボンスキーの物性は、これまでになかったさまざまなアドバンテージをもたらします。たとえば、モーグル斜面では、コブの形状に合わせて変形し、理想的なグリップを提供します。一方、アイスバーンでは、スキー板がねじれないため、スチール製エッジがしっかりと氷雪面を捉え、スキー板側面全体を使ってグリップを維持します。つまり、表面が変化した場合でも、スキーが氷雪面とのコンタクトを失いません。さらに軽量性が相まって、良好な取り回し性を発揮します。なお、スキー板1本あたりの重量は、わずか960グラムです。